三代芳松氏は、漁業界の重鎮であり、幼児から従事した漁業の経験を活かして漁撈法の研究考案を重ね、業界に寄与するところ誠に多大なものがあります。 就中 大正八年秋 機船底曳網巻揚機の発明を契機に、敢然として、いわし揚繰網の改良に着眼し、浸食を忘れ心血を注ぎ孝研実験のため、あらゆる犠牲を払って、大正十五年春 遂にいわゆる「改良揚繰網」の完成を見たのであります。 思うに、漁業界の共通的な悪弊として、ともすれば昔のままの古い形式を守り、いたずらに旧慣を固執して融通性を欠く一般的な風潮の中にあって氏は稀に見る進取の気性に富み、先見の明ある傑物ともいうべきで、又業界にとっても忘れることのできない恩人であります。 ひとたび氏の発明が完成するやいわし漁業は一新紀元を画し、漁獲高の激増はいうに及ばず製造加工業の盛況は正に隔世の感を呈し、いわし漁業は、漁村経済の基幹産業となったのであります。 そしてその恩恵を受けるところのものは県の内外に及び氏の名声は、広く世の人びとに喧伝されるに至ったのであります。 実に偉大というべきではないでしょうか。 (以上、周知板より引用/抜粋) |